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東北大学学友会能楽部喜多会お稽古日記☆

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今日はこたつを出して、日本シリーズを見ていたら一日が終わりました。お久しぶりの瀧塚です。

さて、実は先日の学祭に出演しておりまして、実はそれが自分の学生最後の舞台だったわけでもありました。

そこで、自分は何故5年間も能というものを続けることが出来たのか、自分は何故能のことが好きなのか、自分は能に対してどのような感情を持っているのかということを考えてみました。


僕は能が好きです。特に能の謡を謡うのが好きです。それは何故だったのでしょうか?

僕は能のメロディーが好きでしょうか?答えはNOです。能のメロディーなんてパターンが限られていますし、感情が揺さぶられることも全くありません。

僕は能のリズムが好きでしょうか?答えはNOです。能の囃子に変拍子が満載だと初めて知ったときは興奮しましたが、実はそこまでプログレッシブではないことにすぐに気づきました。

では僕は能の謡の何が好きなのでしょうか?それは声による表現の幅広さなのだと思います。
能の世界観は古典に基づいており、その多くが叙情的、悲劇的に描かれています。まずそれが僕の感性に響きました(ちなみに僕は祝言とか、明るいめでたい曲は好きではありません)。

そのような世界観を表現するために、自分の声のみしか用いることが出来ないのが能の謡だと思います。

能の謡は伴奏をほとんど伴わず、メロディーやリズムもパターンが限られており、非常に退屈です。
だからこそ自分の声による表現に託されている部分がとても大きいと思うのです。
能の謡には絶対的なキーやテンポが存在しません。これを自由に変えることで様々な表現が出来ますが、それだけでは不十分です。
他にも、声色、息づかい、アクセント、声量などを変えてみること、またあえてピッチやリズムを外してみることなどが求められます。
そのようなことはどのようなジャンルの音楽にも言えることなのかも知れませんが、能の謡においては特にシビアに要求されるように思います。

なぜなら能の謡は非常に退屈だからです。

伴奏にも頼れず、メロディーやリズムの面白さにも頼れない。自分の声による表現を充実させない限り、すべて同じ曲にしか聞こえない。せっかくの世界観を伝えることが出来ず、退屈にしかなり得ないのです。

しかしそれは自分の声に無限の可能性があるということだと思います。
自分の声によって様々な素晴しい世界観を表現できるという可能性。
実際にこの5年間でプロの演能を観た際に、鳥肌が立つような物凄い謡を聴けたことが何度かあります。
ほとんど声だけによって、凄まじい世界観、感情を表現できるということに、感動しました。

そしてそのような物凄い表現に少しでも近づきたいと思い練習をしてきました。
「謡10年」と言われるように謡は非常に難しく、この5年間である程度上達したのではないかと思うものの、自分自身満足のいくものではありませんし、理想の謡は果てしなく遠いと思います。

しかしこの5年間で声による表現というものに対する考え方は確実に深くなりましたし、それを追求する能というジャンルの音楽を学ぶことが出来たことに感謝しています。

上手くまとめられませんが、僕が能を続けられた理由、能を好きな理由はそういったことです。
今後の人生の中で、また能のお稽古をすることがあるかはわかりませんが、もしあったのならそのときは、変わらずに声による表現を追い求めていることだろうと思います。

長文になってしまいましたが、以上にて閉じさせていただきます。
ありがとうございました。

最後に、千葉ロッテマリーンズ、日本一おめでとうございます。

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遅くなりましたが

瀧塚先輩、今まで本当に本当にありがとうございました。
先輩の謡が大好きでした。

…なんだかお別れの挨拶みたいになってしまっているのですが
先輩にお話したいことは沢山沢山ありますが、このコメントの続きはまた今度、お会いした時のためにとっておこうと思います…!
  • もこ
  • 2010/11/20(Sat)22:11:01
  • 編集

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